第1章
ラムとクラマのいる家

朝、リビングに光が差し込んでくると、ラムはすぐに起き上がった。くりっとした目で辺りをぐるっと見回し、「さあ、今日も始まるぞ」とでも言いたげにしっぽをぴんと立てる。一方クラマは、ソファの端っこでまだ丸まったまま。片耳だけぺこっと動かして、また目を閉じた。
「ラム、クラマ、ごはんだよー」
ヨーコの声にラムが一直線にキッチンへ突進する。クラマはのそのそと、自分のペースで後からやってきた。
ユーキが出勤の準備をしていると、ラムが靴下に噛みつき始めた。「こら、離せって」と笑いながら足をぶんぶん振るユーキ。クラマはその様子を少し離れたところから眺めて、あくびをひとつした。
2人が出かけると、家は静かになった。ラムはさっそく窓に飛び乗って外をじっと観察。スズメが来るたびにお尻をぷりぷり揺らす。クラマは日の当たる床にどーんと横になって、まぶたをゆっくり落とした。
午後、インターホンが鳴った。宅配業者さんらしい。クラマがぱっと顔を上げ、廊下の奥へそそくさと退散する。ラムはというと、ドアの前に陣取って、隙間から鼻をひくひくさせていた。結局誰も入ってこないとわかると、ラムはちょっと残念そうに耳を倒した。
夜、ドアが開く音がすると、2匹同時に玄関へ走った。ユーキとヨーコが「ただいまー」と言う前に、ラムがふみふみしながら足元にまとわりつく。クラマも珍しく「にゃ」と短く鳴いて、ヨーコの手に頭をぐりぐり押し付けた。
「かわいいなあ、もう」とユーキが笑う。
リビングに明かりがともって、いつもの夜が始まる。この家はやっぱり、2匹がいてちょうどいい。